旅ラプきろく帳

海外テーマパーク弱ヲタが、自分が読みたい事を書いてます…2016年9月オーランド旅行記更新中

WDWアニマルキングダム・幻のエリア『ビーストリー・キングダム』

アニマルキングダムのオープン前、ガイドブックにも載っていた幻のエリアがあったことをふと思い出しました。「あれはなんだったの……?」
というわけで2017年アバターランドの建設も着々と進む今、幻となった『ビーストリー・キングダム』についてまとめてみます。ちょっと長いですよー。
The Land Before AVATAR: What Disney's Animal Kingdom Almost Had | Theme Park Tourist
こちらのページを引用・参考にしています。


アニマルキングダムは1998年4月22日にオープンした、WDW4番目のパークです。
大テーマは「野生動物の保護」(animal conservation)
現存している動物達と、絶滅してしまった生物である恐竜が大きな要素になっています。どちらにも当てはまらない"イエティ"がいるのですがこれはまた後で…

こちらはお馴染み、アニマルキングダムのロゴ。

ドセンはドラゴンなんですよね。
これが現在も残る幻のエリアの痕跡です。


アニマルキングダムは元々、「動物」「恐竜」そして「想像上の神話の生き物」の3要素・3エリアで構成される予定でしたが、予算が足りず削られてしまったのでした。これが『ビーストリー・キングダム』(Beastly Kingdom)です。
1997年頃のガイドブックには確かにこのビーストリー・キングダムもオープン前情報として載っていたのを覚えています。

さてこのエリア、アトラクションを含むかなり具体的な計画があり、コンセプトアートも描かれていました。


こちらがビーストリー・キングダム全体のコンセプトアートです。右側が明るく、左側が暗いイメージで描かれています。

まず全体図の右側、光が差しているゾーンから解説していきます。ここは"ユニコーン"など神話に登場する神聖な生物をテーマにしていました。

計画されていたアトラクション①
映画「ファンタジア」のダークライ

右手奥にあるギリシャ神殿や山は、1940年の映画「ファンタジア」の"時の踊り"というシーンをモチーフにしたダークライドになる予定でした。ユニコーンやペガサス、ケンタウロスが出てくる天国のような情景が描かれた前半と、後半のカバやワニ、ダチョウのバレエが印象的なシーンです。
(onesperfectshopdb.com)
アニマルキングダムにはダイナソー以外のダークライドがないので『イッツアスモールワールド』のような家族向けのアトラクションを導入したかったようです。

計画されていたアトラクション②
ユニコーン・クエスト(Quest for the Unicorn)

全体図中央奥にあるのがこのアトラクション、ウォークスルータイプの迷路です。
「迷路に隠された5つの黄金像を見つけ出し、その一つ一つが最奥にある美しいお城への鍵になっています。ゲストはお城の地下で伝説のユニコーンと遭遇するのです」という、かなり詳細なアトラクション内容も設定されていました。

黄金像の一つ、グリフォンのコンセプトアート。

地下に潜むユニコーンのイメージ。ディズニーランドパリの「眠れる森の美女城」地下にあるドラゴンの洞窟のイメージです。私はパリに行ったときこのドラゴン見忘れて死ぬほど後悔している…

では次に全体図の左側、荒々しくダークに描かれているゾーンについて。
ここにはビーストリー・キングダムの中でも目玉アトラクションとなるはずだった『ドラゴンズ・タワー』をメインに、タワーを囲むストーンヘンジのような円状の石が佇む広場になる予定でした。
以下のようなイメージです。(割と意訳&訳しにくいところとばしてます)

「煤けた鎧や地面に突き刺さった槍が打ち捨てられ、あちこちの穴から高温の蒸気が噴き出している暗い森の中の道を抜けると朽ち果てたタワーに辿り着く。中世のランタンが灯り、ツタの絡まる暗い道が出発点となる。」
「森を抜けると、地面から突き出しているぎざぎざの岩でできたトーチに照らされ、わらぶき屋根の市場や石でできたパブの立ち並ぶ中世の村に囲まれる。」
「この村を監視するようにそびえ立つのがねじれた邪悪なタワーと、ストーンヘンジのような石柱の広場である。」

計画されていたアトラクション③
ドラゴンズ・タワー(Dragon’s Tower)

タワー内部は大型のコースターライドとなっており、金塊を守るドラゴンに襲われつつ、崩れ落ちる洞窟を駆け抜けるというかなりスリリングなアトラクションになる予定でした。
ユニバーサルスタジオハリウッドなどにある『リベンジ・オブ・ザ・マミー』のようなダークライドとジェットコースターを足したタイプのアトラクションで、TDSの『センター・オブ・ジ・アース』も近いイメージかと思います。面白そう…!!


またこちらのコンセプトアートに描かれているように、コウモリ型のライドに乗ってドラゴンの宝物を盗むという案もあったようです。この案では逆さまコースターや左右に揺れ動く吊り下げコースターが候補になっていました。

この大規模コースターはアニマルキングダムのメインスリルライドになる予定でした。残念ながら計画は中止されてしまいましたが、オープンから8年後の2006年に登場する『エクスペディション:エベレスト』がその役割を受け継いだのです。
"架空の朽ち果てたタワー"から"エベレスト"に舞台を移し、火を噴くドラゴンは雪男イエティに代わったんですね…!!

動物と恐竜がはっきりと二大テーマとなったオープン後にテーマランドを作らずドラゴンをもってくるのは無理がありますが、エベレストという実在する山に「もしかしたらいるかもしれない生物(UMA)」であるイエティを登場させたことで、「想像上・伝説上の生き物をテーマの一つにしたい」というオープン当初に叶わなかったコンセプトを形を変えて見事に実現したと思います。

しかしここまで仔細に渡る『ビーストリー・キングダム』を創り上げたイマジニア達にとって、このエリアがカットされた失望は相当のものだったでしょう…
あくまで噂の域ですが、ユニバーサル・オーランドの第二パーク「アイランズ・オブ・アドベンチャー」にビーストリー・キングダムのアイデアが持ち込まれたのではという説があります。

Universal Orlando: Islands of Adventure: The Lost Continent Information
それがこの『ザ・ロスト・コンチネント』エリアです。荒々しい岩山がドラゴンズ・タワーの広場と似ているような気も…?

File:DuelingDragonsEntrance.jpg - Wikimedia Commons
1999年のオープン当初からあるこのエリアは岩山や中世の村といった装飾だけでなく、ドラゴンの大型コースターライド『デュエリング・ドラゴンズ』やユニコーン型の小型コースターなど、ビーストリー・キングダム計画にあったモチーフが多用されています。
アニマルキングダムのコンセプトとは相容れない点も多いのでコピーではありませんが、単純にモチーフや装飾をヒントにした可能性はありそうですね。
※上記2つは現在ハリーポッターエリアのアトラクションとしてリニューアルされています。

さて、いずれにせよアニマルキングダムにビーストリー・キングダムが実現する可能性は限りなくゼロになりました。アバターランド建設が決定したからですね。
ビーストリー・キングダムは2014年にクローズしたキャンプミッキー・ミニーのあたりに建設が計画されていたので、まさにアバターが取って代わる形になりました。

アバターランドは2017年に映画「アバター」(2009年/20世紀フォックス)の続編公開がされること、さらにその後2編の計4部作という壮大な計画となったことを受けて2012年に計画が発表されました。
単なるアトラクション設置ではなく、大規模なエリア増築となります。

「想像上の生物」を扱った大規模エリアの実現という点では当初の計画を果たすことになるのですが、アバターランド建設が発表された当時はビーストリー・キングダムの追加オープンを夢見ていたパークファンから反対の声も大きかったようです。

アバター人気がひと段落していた頃の発表だったので「なぜ今?」という声や、映画としてディズニーファンにいまいち馴染みがなかったこと、またアニマルキングダムに初めてコンテンツが持ち込まれ、しかもまだ未公開の出来のわからない映画であることも一部のファンの反感を買っていました。

模型スゴイ…!

個人的にはアバターを見ていないのでコンテンツに思い入れはないのですが、計画中のアートワークやアトラクション構想がとても魅力的なので純粋に期待しています。
イマジニアの真骨頂であるディズニーパークオリジナルも大好きですが、ハリーポッターエリアのように映画の世界がものすごいスケールで再現される楽しみも最高クラスのテーマパークだからこそ実現できることだなぁと思います。

『エクスペディション:エベレスト』とアバターの惑星パンドラで、アニマルキングダムは段階的にテーマ性を広げつつあります。
ビーストリー・キングダムも見てみたかったなーと思いますが、今となってはアバターランドの最新技術を駆使したアトラクションに期待するばかりですね。
2017年完成予定なので行けるのはいつになるやら…


ちなみにこの記事を書いている間、アニマルキングダムオープン時のマクドナルド・ハッピーミールを手に入れました…!もうほとんど見ないものなのでなんという偶然。。大事にしよう。

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